真夜中の魔法使い
花びらの正体
兄の部屋にて
「うーん・・・花びら一枚じゃ調べようがないなあ」
ミユウは大きめの瓶に入れた花びらを眺めながら唸っていた。
アキは花びらに枯れない魔法をかけてくれていたけれど、花びら自体が破れてしまったらいけないので瓶にも保存魔法をかけておいた。
アキが突然やってきてから三日がたったが、一向に花びらを特定できていない。
別にわからなくても問題がないのだが、なんだかアキに負けるのが悔しくてずっと図鑑やら植物に関する書物を漁っていた。
部屋の壁というかべに本棚が置かれているこの部屋は、ミユウの家の地下にあった。
両親の仕事柄、集まったものだ。
部屋の真ん中には大きな机がひとつ。
ミユウはそこにいくつも本の山を積み上げていた。
写真が大半を占める図鑑を読んでいると、開いたページの上にひとつの音もなく紙飛行機が着陸した。
普通だったら一人で密室にいるのに紙飛行機が飛んでくるのはおかしいだろう。
でもミユウの家ではこれが通常なのだった。