真夜中の魔法使い
後悔
ベッドの上で体を起こしたままぼんやりと月下美人を眺める。今はもう、ビンに入れずに、直接持つことができるようになっていた。
アキが魔法を使えるようになるとクリスマスプレゼントに、と花びらをそのまま凍結し、ネックレスにしてくれたのだ。もちろん通信機能はついたままだ。
月明かりの下では一際特別な輝きを見せてくれるその花に、静かにため息を漏らす。
魔法の使えない生活は思いの他不便で、なれない日々にあくせくしている間に年を越していた。
1月も半ばになる今ではミユウはなんの不自由もなく魔法を使えるようになったし、アキもすっかり元気いっぱいだ。アキがいるとミナトが学校に行っている間も楽しく過ごすことができた。
その一方でアキをこの家に縛り付けている状態は、ネックレスによってフレッチャー家に縛り付けられていた時と変わらないのでは、とも思ってしまう。
ミユウが起こした爆発のことはどのように扱われているのかは分からないが、アキが家出をしたことは一切伏せられているようだった。
しかし、アキがこの家を出たら何が起こるかわからない。
もちろんあの家にずっといたらどうなっていたかわからないけれど、ミユウは自分のしたことに後悔をし始めていた。
ハルトはアキを逃したことを咎められていないだろうか。
あの時は必死だったとはいえ、自分のしたことの大きさには驚きを隠しきれない。