真夜中の魔法使い
「あきーっ!」
「慌ててどうしたの?」
息を切らせて温室に飛び込んできたミユウをみて、アキは驚いた様子だ。
「これ、忘れたらまずいよね!」
先ほど見つけた書類をアキに渡す。
どうやって持ってきたのやら、愛用の手袋を外して書類を受け取ったアキは、ざっと書面に目を通すとうん、と頷いた。
「そうだね、ミナトに連絡してみた?」
「ううん。今、伝書を送ってみる。」
ミユウはその場で杖を振って紙とペンを取り出した。
「これでよし、と。」
それを紙飛行機の形に折り、スッと飛ばした。
飛行機はしばらくミユウの頭上を旋回したと、跡形もなく消えた。
「早く気づいてくれるといいんだけど。」
家の中でやりとりするのと同じ要領で、離れた場所でも紙飛行機で伝書を送ることが出来るのだ。