真夜中の魔法使い
「あっ帰ってきた!」
アキの指示に従って葉っぱの間引き作業を始めたところ、ほどなくして紙飛行機が帰ってきた。
「悪いが、大学まで届けてくれ、だって!」
「一人で大丈夫?」
アキは明らかに不満そうな顔をしていた。
「うん、大丈夫だよ。学校の中に直接転移するつもりだし。」
「そう?ボク、変装して一緒に行こうか?」
「アキと一緒の方がかえって危ないって!大丈夫だから。すぐに帰ってきてこの続き、手伝うから。」
「うーん、悔しいけどその通りかも。
お昼の支度もしなきゃだから、寄り道しちゃダメだからね。」
アキはミユウの頭に触れかけて、ほんの一瞬ためらったあと、何もせずに手を下ろした。
「気をつけて、いってらっしゃい。」
さっきのはなんだったのだろうという思いは、急いでいたのですぐ頭から抜けてしまった。
「うん!行ってきます。」