真夜中の魔法使い
ここはどこかわからないし、どうやらここまで連れてきたのはハルトのようだ。
ついていく他はないだろう。
暗闇で腕を掴んできた人は明らかにミユウに危害を加えようとしていたのだ。
そこから逃れられただけ状況はましな方向に向かっているはず。
ハルトが歩いたあとを、急いでついていく。
しばらく歩いていくと一軒のログハウスが見えてきた。
煙突からはもくもくと煙が立ち上っている。
どうやら中に入るようだ。
「ねえ、ここ、どこなの?」
誰かの家のようなので、何も知らずに入るのはためらわれる。
「僕たちの叔父の家だ。心配する必要はない。」
僕たち、とはもちろんアキとハルトのことだろう。
「はあ、まあ、ハルトがそう言うなら・・・」
ハルトが扉を開くと、チリン、と可愛らしいドアチャイムの音が聞こえた。
なんだか緊張がほぐれるような、暖かい音色だった。