真夜中の魔法使い
「はあ。いや、でも、なんか・・」
さすがに大の大人を呼び捨てなんて、なかなかできないよね。
「こいつ極度の人見知りだから、馴れ馴れしくしろって言われても無理だぜ。」
「ねえ、それフォローのつもりなの?」
たしかに呼び捨ては無理だなと思ってたから助かったんだけどさ、会ったの二度目でそこまで言うなんて、ひどくない?
「否定はできないだろ?」
ニヤリと笑った顔は、超ムカつくけど普段のハルトよりは親しみやすい表情で。
ここに来て初めて完全に緊張が解けた感じがした。
「君たち、なかなかいいコンビじゃないか。
さあ、ミユウちゃんも冷めないうちにお茶を飲んでご覧。リラックス効果があるハーブを使っているんだよ。」
出してもらってから随分と放置してしまったことに気づき、慌てて口に含む。
思ったより冷めていなくて、爽やかな香りと温かさがじんわりと広がる。
「おいしい・・」
「でしょう!自家製だからね。他では味わえないスペシャルブレンドさ!」
どうやらヨウさんは、本当に礼儀とか細かいことを気にしない人のようだ。