真夜中の魔法使い
「あっ、そうそう!ちゃんと僕からメッセージを送っておいたから!ね。ミユウちゃん、安心して?」
黙ってろと言われたことを完全に無視してヨウさんは嬉しそうにそう告げた。
それでも、ミユウは相変わらず絶望的な様子で俯いてしまう。
「ウチは、決まったところの手紙しか受け付けないようになっているので・・・」
「ハッ。だから俺がそんなことも知らないと思ってんのかっつってんだよ」
なかなか立ち直れないでいるミユウに苛立ち始めたのか、普段からキツイハルトの言葉遣いがますますエスカレートしていた。
「うんうん、そうだよ。ちゃーんと届くようにしたから。」
「届くようにって・・・?」
その言葉に顔をあげたミユウだったが、半信半疑、といった感じだ。
それに対してハルトは肩をすくめ、ヨウさんに視線を送った。
どうやったか知らないなんて、無責任ではないか。
そう思ったけれど口にする元気はない。
「ふっふーん!普通の伝書じゃダメだからね。呪いを送っておきました♪」
「えーーっっ!!!!」
「はあ、まったく。」
絶叫して再び立ち上がったミユウの影でため息をつくハルト。
「ののの、呪いって!どうしてくれるんですか!」
いくらなんでも、心配できないように呪っちゃうとかありえない!!!
「どうせあれだろ。コイツが思いつくことといえば、暗号が解けるまでくすぐり続けるとか、その手の趣味の悪い呪いに決まってる。」
「ざんね~ん!暗号が解けるまで顔に落書きをし続ける呪いでした~!」
「なにそれ・・・」
「どっちも変わらねーじゃねーか。」
ミユウは呆気に取られていたが、ハルトは馴れているためか、呆れ顔だ。