真夜中の魔法使い
「うーん、そうだねえ。」
「一見竜巻を起こしているだけのように見えるけれど、それだけじゃない、でしょう?」
「さすがの洞察力。まったく、似たもの兄妹だなあ。」
外では未だに風が吹き荒れているというのに、ペースを崩さないというか、飄々としているというか。
それでいてさらっと凄いことをやってのけてしまう。しきりにミユウに感心しているが、ヨウ自身が物凄い実力者であることは間違いない。
「まったくだ。お前たちときたら。」
珍しくヨウとハルト、二人の意見が一致しているようだけれど、今は正直どうでもいい。
強い魔力に晒されている為に、手足がピリピリと痺れてきた。
「お願いだから、なんとか、してください・・・」
自分の体力が奪われているのか、はたまた相手が力を強めているのか。少し前よりも風の力が強くなっていた。この状態を保てるのも時間の問題だ。
「おっと、ごめんごめん。のんきにしてる場合じゃなかったね。」
そういいつつ全く焦る様子がないのは、ヨウさんに秘策があるからだと信じたい。
「で、どうするんだ?ミユウもそろそろ限界だろうし、チャンスは一回きりだな。」
ハルトもハルトで何もしていないので、余裕で涼しい表情を浮かべている。