真夜中の魔法使い
しかし、既にミナトの視線はミユウの手の中の瓶に集まっていた。
「しかも、この家の防護呪文を突破するなんて、相当の腕の持ち主だ。」
必死の否定をミナトにスルーされ、ありがたいのやら虚しいのやら。
高ぶった気持ちを落ち着けるため、ミユウも瓶の中の花びらを見つめることにする。
「その花びらにかかっている呪文も、そいつが?」
気がつくと机の向こうに座っていたはずのミナトはミユウの隣に来ていた。
「うん・・って出さないでよっ」
ミナトはミユウから瓶を奪うと栓を抜いて花びらをとり出してしまった。
ミユウの言葉をまたもや無視して呪文を唱え始める。
花びらはミナトの手の平で僅かに浮かび上がり、青白い光に包まれた。
「お兄ちゃん、一体何して・・」
青白い光が次第に広がり、立っているミナトと同じくらいの大きさになった。