真夜中の魔法使い
「それにしても、月下美人って名前、ぴったりだね。」
ミユウは瓶に戻した花を飽きもせずに眺めている。
「そうだね。ウチの温室で、育ててるんだけど、今回やっと花を咲かせることに成功したんだ。」
アキはミユウの隣の席で紅茶を飲んでいる。
三人はミナトの部屋からダイニングに移動し、客人と認定されたアキはやっと身分相応のもてなしを受けていた。
「てゆうか、このお菓子おいしい!どこのものですか。」
「ウチで作ったものだ。」
お兄ちゃんはフン、と鼻を鳴らす。
「え、すごい。ミナトさんが作ったんですか?
王立大学の最年少主席は、なんでもできるんだなぁ」
「ちょっと、私が作った可能性は考えてくれなかったの?」
ミナトとアキのやりとりに、ミユウがストップをかけた。