真夜中の魔法使い
時刻は午前1時過ぎ。
もしかしたらアキは寝てしまったのかもしれない。
それならば仕方が無い。
また来てくれるのを待つしか、今のミユウにはアキに会う方法がないのだ。
昼間お兄ちゃんが使ったのは、魔力の痕跡を辿って相手を呼び寄せる呪文だった。
遠く離れた人の肉体を呼び寄せるというのは、ハイリスクである。
たどり着くまでに身体が元のままの形をとどめている保証はない。
さすがのミナトも、犯人捜しのためでなければその呪文を使う気にはなれなかっただろう。
「今日はもう、来ないかな。」
なんとなく声に出した言葉が、思わず虚しく響く。