真夜中の魔法使い
服は何箇所も切り裂かれ、顔も傷だらけだ。
左腕からは出血もしているようだった。
「ひどい・・一体どうして」
部屋に明かりを灯し、そっと身体を仰向けにすると、アキの顔は青白く、呼吸も浅かった。
急いで呪文で止血をする。
これまでにどのくらい血を失ってしまっただろうか。
血は止まったけれど油断はできない。
自分だけではどうにもできないと判断したミユウは、杖を一振りしてミナトに紙飛行機を送る。
「アキ・・」
「ミ、ユウ・・」
ほんの少し呼吸が落ち着いてきたようだ。
「ミユウ!何があった!?」
慌てた様子のお兄ちゃんが、直接、部屋のなかに転移してきた。