真夜中の魔法使い
ミナトが回復の呪文を使ったのだろう。まだ顔色は良くないが、アキは身体を起こせるようになっていた。
手を差し伸べようとしたミユウの手をミナトが払う。
まだ、アキのことを疑っているのだろうか。
「追跡は?」
「いえ、ありません。隙を狙ってきました。」
ミナトとアキの冷静な会話に全くついていけないミユウは、二人の顔を交互に見つめる。
「つ、追跡って・・?」
「なら、朝まで休むといい。隣の部屋が空いている。」
「すみません。ありがとうございます。」
またまたお得意のスルーだ。
ミナトは杖を一振りすると、今度は歩いて部屋を出て行った。