真夜中の魔法使い
魔法使いを縛りつけるもの

貴族の裏側




助けるって言ったって、どんな呪文なのかもわからない現状では対処のしようがない。


アキは「外そうとすると危害を加える」と言っていたけれど、そもそもこのネックレスは、この呪いはどんな目的でかけられたものなのだろうか。


思えばアキのことを何一つ知らないのだ。
憶測のままで進めるのは危険すぎるので、事情を聞く覚悟をするしかない。




朝食の席でミナトと談笑するアキを横目でちらりと盗み見る。
なんとなくアキのプライバシーに踏み込むことはためらわれた。




それは、私がお兄ちゃん以外の人に接するのに慣れていないとか、そういった次元とは別の問題だった。
直感が触れてはいけない、と。


でも躊躇している場合じゃないのも事実だ。




「ぼおっとしてどうしたのー?」



「ん、なんでもないよ。」




アキ自身は平気そうにしているが、昨夜の傷も、ネックレスの呪いをかけた魔法使いによるものだとしたら、その人はアキに対して容赦がないということだ。



何らかの形で身体を蝕んでいく呪いと大量の出血。
下手したら命に関わる問題だった。





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