真夜中の魔法使い
「昨日の話かな・・?」
お兄ちゃんだって気にならないはずはないだろう。
だとしたら一緒にアキの呪いについて調べられるから心強い。
でも、それなら私にも聞かせてくれればいいのに。
両親を亡くしてからお兄ちゃんは私に対してより過保護になった。
それは間違いないだろう。
学校に行かずに家で勉強してきたのもお兄ちゃんの意向だった。
今回のことでも私を関わらせないようにしようとするかもしれない。
「私ももう、16なんだけどな。」
人を傷つける魔法も、それに関わることも嫌いだけれど、アキが傷つくのを見て見ぬふりすることはもっと辛いことのように感じられた。
・・アキの使うワクワクする魔法は、どこかお父さんの魔法に似ていた。
そんな魔法使いを、もう失いたくなかった。