真夜中の魔法使い
真夜中の来訪者
姿を現したのが、同年代の少年だったことで恐怖感は少し遠のいたが、油断はできない。
相手は紛れもなく自分と同じレベル、いや、それ以上の実力を持っていると考えられるからだ。
強固にかけた防護呪文を、形跡もなく破るなんて・・・
『ねーそんな厳しい顔やめて。杖も下ろしてよ。』
少年はミユウの様子とは対照的でのんびりした様子だ。
「あなた、何者?」
『そんな、警戒しないでよ。・・無理かもしれないけど。僕は君に会いに来たんだ。』
不満そうな顔をしてそういう少年に対し、ミユウの表情は眉間にしわが寄るほど険しくなる。
「会いに来るなら、なんでこんな時間なの?どう考えたって怪しいじゃない。」
そう言いながら、危害を加えずに追い払う方法を頭の中で計算する。
『だって、夜、さみしいでしょ。』
彼の、その一言で、頭が真っ白になった。