真夜中の魔法使い
「無事なはずないよな?」
すぐ後ろからミナトの声が聞こえてくる。
その声音が心境を表していることは言うまでもない。
鋭く、厳しく刺さる。
やっぱり、ば、ばれてる・・!
お兄ちゃんの目を誤魔化すには計画が甘すぎたみたいだ。
手と合わせて頭までズキズキと痛んできた。
「は、はい。ごめんなさい。」
「見せなさい。」
「はい・・」
なるべく時間をかけて振り返り、ミナトの元へ向かう。
ぐっと左手首を掴まれ、手のひらを返される。
途端にミユウがかけた変幻術は解け、手のひら全体に広がった赤いただれが露わになった。