真夜中の魔法使い
私はたしかにバラに目を奪われ、心まで奪われてしまっていたのだ。
「呪い・・?」
「うんそうだよ。」
また震えが走って、巻いてもらったマフラーをぎゅっと握り締める。
呪いに取り込まれ、危うく引き込まれるところだった。
冷静になってみれば、明らかに「よくない魔力」が感じられる。
しかし、呪いにはそれを感じる感覚を狂わせる力がある。
「はは、怖いね。」
「ごめんね」
アキは首をかしげて悲しそうな顔をしていた。
「なんで・・アキは悪くないよ。」
「ごめんね。だけど、これは脅しに過ぎない。
次以降は本当に危ないよ。」
そんな・・・
「脅しって、まさか・・」
「そう。気づかれてたんだ。」