真夜中の魔法使い



「・・ごめん。」



「なんで謝るの。」



さっきからお互いに謝ってばかりだ。





「だって。アキに迷惑がっ・・」




自分がしてしまったことの大きさに、頭が真っ白になってしまう。





「大丈夫。」




アキはやっぱりそう言うけれど。




フレッチャー家を嗅ぎまわっている人物を、アキが追いかけていいはずがない。



ただでさえ、呪われているというのに。




アキはスタスタと歩き、事もあろうが赤い花びらを拾い上げ、握りつぶした。




「アキっ」



一瞬顔をしかめた後、アキは手のひらを開いて見せた。





「ほら、これでもうおうちに入れるよ。」




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