真夜中の魔法使い
「ごめんね。せめて、どんな呪いかわかれば・・」
瓶の中の月下美人の花びらに向かって話しかける。
なんだか最近習慣になってきてしまった。
「もう。独り言、増えちゃったじゃん。」
考え事が多いせいか。頭にしまいきれないのか声に出してしまうのだ。
「この花びらは純白、だね。」
さっきのバラは、血のように赤かった。
思い出すだけで寒気が戻ってくる。
血の色・・
前にもどこかで・・?
頭の中を再び何かがちらついていた。
だが、一日の疲れがたたって頭はボーッとしてまぶたが重い。
抵抗する力もなく、普段は眠れないはずの時間帯に眠りの世界へ旅立った。