Dr.早瀬
ガラッ
ガラッ
勢いよく扉を開けて閉める。
「っはあ…はあっ」
息が苦しい。
ベッドに座り込む。
発作だ。
よくなるから別に焦りはしない。
首にかけているケースの中の
薬を飲む。
「っはあ…はあ、」
ただただ静かな部屋に
あたしの発作の吐息だけが
響いて悲しくなった。
涙をこらえようとすると、
余計に息が苦しくなって
発作がなかなか治まらない。
「はあっはあっ…っはあ」
その時、
コンコンッ
扉を叩く音がして
「由那さん?いるのか?」
研修医の声が聞こえた。
「っはあ、あっ、はっ」
「おい。開けるぞ?」
その声が聞こえたあと、
扉が開いた。
「っはあっはあっ」
「おい、どうした?!」
入ってあたしを見た瞬間、
目を見開いてすぐにベッドサイドまで
走ってくる。
背中をさすられる。
「っはあ、なしてっ、はあっ」
泣いてるところを見られたくなくて
必死で研修医の腕を払った。
「っ…」
「はあっはあっ、すぐ、
おさまっ、はあっだいじょっ、ぶっ」
必死で伝えようとするけど
発作が邪魔してうまく伝えられない。
「っはあ、やだっはあ」
研修医はまたあたしの背中を
さする。
「どっか、いっ、て!っはあ、っ!」
また振り払ったら
今度は抱きしめられた。
「落ち着け!!!」
「はあっ…っはあ」
怒鳴られたことでびっくりして
「深呼吸して。」
「っは、っすうー、
っは、っはあ」
研修医の言う通りにした。
「そう。ゆっくりでいいから。
大丈夫。俺がここにいる。」
その言葉にすごく安心して、
少しずつ落ち着きを取り戻していった。