Dr.早瀬
「由那?」
「え?」
気付くと、心配そうな顔をした勇人が
目の前にいた。
「どうしたんだよ。
顔 すげえ怖いぞ?」
そう言ってまたにかっと笑う。
「…うるさい。
生まれつきよ。」
「あ、拗ねてんの?」
こいつ絶対あたしの反応に
面白がってる。
「は?何言ってんの。」
もうお昼だ。
ご飯と検査の時間のため、
戻ろうと病棟の方に足を向ける。
「おいー、怒んなよー。」
そんな勇人の言葉を無視して
足を進める。
「そんなカリカリしてっと
体に良くねーぞ?」
その言葉にも無視を決め込む。
「…いってえええええ!」
いきなり勇人の
そんな声が聞こえてくる。
いきなりのことで思わず足を止めて
後ろを振り返る。
「いってえまじ!!」
後ろにはギプスをつけてる左足を
押さえて身体を折り曲げて
痛がってる勇人がいた。
「なに!いきなりどうしたの?!」
心配になって駆け寄る。
「勇人!どうしたの?痛いの?」
そこにしゃがみ込んで
勇人の顔を下から覗き込む。
周りに先生がいないか見渡して
また勇人に顔を向ける。
「な、に、笑ってん、の?」
そこにはにまーっと
笑った勇人の顔があった。