Dr.早瀬
病棟に入ってからは
俯きながら早歩きで病室に
向かった。
「った!あ…すみません。」
誰かとぶつかってしまい、
顔を見ずに頭を少し下げて謝る。
そのまま また病室に向かおうと
したら、ぐいっと腕を引かれた。
「また発作 起こしますよ?」
その声に顔を上げた。
「研、修医…」
「あいつは?一緒じゃないの?」
まだちょっとイラついてる研修医に、
頑張って止めていた涙が溢れ出し
そうになり、俯いて唇を噛む。
「どうしたんだよ…」
困ってるその声に、
余計に泣きそうになり、
自分の足を睨みつけて必死で耐える。
「…とりあえず、病室 戻るぞ。」
声を出したらもうほんとに
だめだと思い、頷くしか出来なかった。