Dr.早瀬
嬉しいのに。
病室に来てくれてひどく安心した。
優しく見つめられて、泣きそうになった。
頭を撫でられて、抱きつきたかった。
研修医の行動一つ一つが、
あたしに安らぎをくれる。
「っとに、素直じゃねーなー。」
さっきまでお母さんが座ってた椅子を
引っ張り出してきて座る。
座ってくれたことに、
まだいてくれるんだとまた安心する。
「口 悪い。」
泣きたくなくて、
その優しさに甘えたくなくて、
さり気なく 話を逸らす。
「お前の前ぐらい許せ。
色々 溜まってんだよ。」
ほんとは、
あたしの前で素でいてくれるのは
嬉しい。
今の言葉すらも、嬉しい。
あたしの前では素でいてくれるんだ。
もう、重症だ。