Game Start!!
腕を強く掴まれ、身動きもできない。
拓馬はひたすら唇をむさぼっていく。
私は息をするので精一杯で。
「何やってんだこらぁ!!」
目の前に被さっていた拓馬が一瞬にして、横跳びに吹っ飛んだ。
でも、私の近くに拓馬がいる。
拓馬が…2人いる……
もう私は疲れ果てて、錯覚を起こしているのではないかと疑うほど思考が低迷していた。
「ちさと……」
吹っ飛ばされた拓馬が私を呼ぶ。
近寄ろうとしたら、もう一人の拓馬が服の袖を引っ張った。
「どっちが本物かも分かんねぇのかよ!」
不機嫌そうに言う拓馬を振り払って、吹っ飛ばされてまだ横たわっている拓馬も元に寄った。