蓮華亭へようこそ
☆3周年記念 Special Story☆
シェード越しに朝陽を感じ
重い瞼をゆっくりと開くと、
「おはよう、姫様」
「………ん?」
「今日は姫様のお好きな『グリッシーニ』だよ」
「…………へ?」
「フフッ、まだ寝ぼけているのかな?」
心地良いテールボイスと共に
仄かにミントの香りがする吐息が顔に掛かる。
その声の主は、優しい手つきで私の前髪を流し
そして、その指先はゆっくりと頬へとつたう。
けれど、彼の瞳は刺々しく、
表情はとても優しそうな笑みを浮かべているが、
瞳の奥は決して笑っていない。
身体が覚えている。
―――――――これは最悪の事態だと。
私は恐ろしくなって、
夢から醒めるように
スローモーションで辺りを見回した。
―――――確かに私の部屋だわ。
それに、この流れは……――……。
あまりの恐ろしさに
ゴクリと生唾を飲み込むと………。