蓮華亭へようこそ
「おいっ、貴様。いつまでそうやって寝てる気だ?」
「ッ!!」
ドスの効いた声が耳に届くと同時に
身体が無条件で反応する。
「おおおお、おっはようございますッ!!」
「遅い!!」
「すすすっ、すみませんッ!!」
「さっさと朝食の準備しろ。腹が減って死にそうだ」
「申し訳ございません、只今!!」
私はマッハの如く、ベッドから下りて
一目散にキッチンへと向かった。
―――――――習慣って怖い。
何が怖いって、
条件反射で身体が反応するのも怖いけど
彼のレーザービームはマイナス1000℃
一瞬で心臓まで凍りつく程の威力で
完全に思考が停止する。
だから、彼の言葉が言霊になって
私の魂が吸い寄せられるの。
本当に悪魔に魅入られたみたいで怖い。
だけど……――……。
昨夜のおつまみで使用したグリッシーニ用に
彼の好きなフルーツソースを手作りして。
彼はブラック珈琲、私はカプチーノ。
2人分の簡単なイタリア風の朝食を準備した。
「お待たせ致しました」