蓮華亭へようこそ
「だって、高野先生って、『女』だよ?」
「へ?」
「だから、『女』なの!!」
「………女ッ?!」
「そう、女。もう少しで定年になるベテランの教師」
「……………/////」
マジで俺、ダサ過ぎて、今すぐ死ねる。
完全に勘違いもいい所だよな。
自分の思考回路をどうにかしたい。
彼女の口から出て来る名前は全て
『男』だと決めつけていた……俺。
はあああぁぁぁ………。
マジで、こんなにも余裕が無かったとは。
苦笑し、恥かしさから……
彼女から視線を外すと、
「もしかして、妬いてくれたの?」
「………/////」
「ねぇ、妬いてくれたんでしょ?」
「////」
俺は顔を背けて黙っていると、
「ッ?!」
急に後ろから抱きしめられた。
「潤くんって、意外と可愛いんだね」
「ッ/////」
「でも、何で分かったの?高野先生の名前」
「………それは………」
「ん?」
「……寝言で言ってたから」
「はっ?」
「だから、葵がいつものように寝言で言ってたから」
「えっ?!いつものようにって、私、いつも言ってるの?!」
「あぁ。まぁ、いつもは生徒の名前だけど」
「ッ?!////」
――――これは、形勢逆転というヤツだよな?
俺はさっきの仕返しとばかりに
彼女にちょっと意地悪に反撃する。
「俺の前で堂々と俺以外の『男』の名前を口にして」
「わっ、私……気を付けてたのに……。潤くんに言われたから……」
……そう。勤務したての頃は毎日のように名簿を音読していた。
今どきの子は名前が憶えづらいとかで。
で、俺が『俺の前では口にするな』と言ったから
起きている間は言わなくなったけど。
寝てる時まで束縛するのはさすがに気が引けて。
だけど、『先生』というフレーズに思わず……。
「潤くん………ごめんね?」
「………」
「ホントにごめんね?」
シュンとした彼女に心が痛む。
別に謝って欲しい訳じゃないから。
だけど……――……
「葵からキスしてくれたら、許す」
「えっ?」
「んッ!!」
俺は目を閉じて、少し顎を突き出すと
「えっ……ちょっ……………もうッ!!/////」
戸惑いながらも、俺のシャツをギュッと掴んで
柔らかな感触が唇に届いた。
そんな彼女を抱き寄せて――――――。
~FIN~
『恋人代行』より
潤と葵の甘い休日でした♪
如何でしたか?
久々に2人が書いてみたくなって
衝動的に下書きをすっ飛ばして
一発入力で仕上げました(笑)
ほんの一瞬でも愉しんで頂けたら幸いです。
蓮条 拝