あの頃の君へ〜eternal love〜
『おっ、おい!!』



『俺は一切関係ないからなっ‥!!』



『そのガキが勝手に
ぶつかってきただけで‥!』



『こうなったのは何もかも
"あの女"のせいなんだ!!』



そう言い放つと、



男は血のついた包丁を残したまま
俺たちの前から逃げ出した。



『おい!!!』



『待てぇえぇーーっ!!!』



その叫び声を聞いた誰かが
俺の代わりに犯人を追ってくれた。



けれど、男の逃げ足は早く
一瞬で見失ってしまった。



『ああっ!クソッ‥!!』



やるせない思いに
つい愚痴が溢れた。



救急車はまだ来ない。



犯人も見つからない。



いつの間にか出来た水溜まりに
流れた血が混じり合っていく。



このたった10分という時間が
俺には地獄のように長く感じた。
< 844 / 1,028 >

この作品をシェア

pagetop