星屑の涙
「…うん。会えないと思う」
「そんな…」
どうにもできないことは分かっている。
そもそも、今この状況こそが奇跡なんだから…。
そう…これは奇跡なんだ。
出会いも別れもすべて、夜空に輝く星の数だけ、この世は奇跡であふれている。
その都度人は涙を流し、憂い、苦しみ、星屑の涙となる。
「ねぇ、ちょっと目、つぶってもらって良いかな?」
「え…?」
彼の姿が霞んで見えるのは、涙のせいか、それとも…
「消える瞬間は見られたくないんだ。
悲しくなるでしょ?
ほら…目、つぶって」
そっと目を閉じた。
次の瞬間、唇に何かが触れた。
それはひんやりと冷たいような、だけどやさしくあたたかい…
目を開けると、彼の姿はなかった。
涙が流れないように、上を向く。
ひとりぼっちの夜…
そんな歌があったなと思い出して、ひとり可笑しくなった。
私は、夜空にむかってわんわんと声を上げて泣いた。