星屑の涙



「…うん。会えないと思う」


「そんな…」



どうにもできないことは分かっている。

そもそも、今この状況こそが奇跡なんだから…。



そう…これは奇跡なんだ。

出会いも別れもすべて、夜空に輝く星の数だけ、この世は奇跡であふれている。


その都度人は涙を流し、憂い、苦しみ、星屑の涙となる。



「ねぇ、ちょっと目、つぶってもらって良いかな?」


「え…?」


彼の姿が霞んで見えるのは、涙のせいか、それとも…





「消える瞬間は見られたくないんだ。

悲しくなるでしょ?

ほら…目、つぶって」





そっと目を閉じた。


次の瞬間、唇に何かが触れた。


それはひんやりと冷たいような、だけどやさしくあたたかい…


目を開けると、彼の姿はなかった。




涙が流れないように、上を向く。


ひとりぼっちの夜…



そんな歌があったなと思い出して、ひとり可笑しくなった。


私は、夜空にむかってわんわんと声を上げて泣いた。




















< 48 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop