星屑の涙


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「え~と、戸部明日香さん、28歳…

え、君、P会社に勤めてたの?あの化粧品の?大手じゃない。

なんで辞めちゃったの、もったいない」


絶対聞かれると思っていたから、どう答えるかは決めてあった。



「そうですね、仕事自体はやりがいもあって楽しかったんですけど…

仕事をしていく中で自分の思う方向性と、会社との間に隔たりがあることを感じて…

もっと自分を活かすことができる場所が他にあるのではないかと思って退職をきめました。

3年と短い期間でしたが、社会人としての基礎、努力することや忍耐、たくさんのことをP会社では学ばせていただいたと、とても感謝しています」


「いや~うちはそんなP会社に比べたら小さい会社だし、ここでそこより成長できるか聞かれたら、自信ないなぁ…」


胸に店長のプレートをした彼は、恐縮そうに言った。

「私、まだ自分にどんな可能性があるのか分からないんです。

自分を活かすといっても、飲食店での経験は皆無なので役に立たないかもしれないし…

ただ、私の新しい第一歩を、ここではじめてみたいと思ったんです」


「…そんな風に言われたらこっちも断れないなぁ。

でもホールじゃなくて調理でいいの?」


「はい。よくよくは調理師免許の取得を目指してるので」




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