BEAST POLICE
「さぁな」

組事務所の椅子の背凭れをギシリと鳴らしながら、鬼首は呟く。

「元より俺は誰も信用しちゃいねぇ…誰がどんな鉄砲玉送ってこようがヒットマン送ってこようが、別に驚きゃしねぇよ」

極道社会は仁義や任侠のみで成り立っている世界ではない。

人情厚い男達の世界などというのも、今は昔。

今は狡猾で残忍で権謀術数に長けた者のみが生き残れる、生き馬の目を抜くような世界なのだ。

腕っ節だけでも、知恵が回るだけでも立ち回れない。

それが巽や鬼首の生きている世界なのだ。

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