BEAST POLICE
巽と鬼首がまず最初にした事は、しゃがむ事だった。

大勢が至近距離で犇めき合う状態で、目標にしゃがまれると蹴飛ばす事も出来ない。

つまり相手は戸惑ってしまう。

上手くいけば、ここでもう同士討ちが始まる。

鬼首がしゃがんだまま一人の金的を打って、下がらせた隙間を突いて、横から後ろに回った。

金的を打たれると人間は下がるものなのだ。

囲まれた時は一人に絞って、殴るなり蹴るなりして体勢を崩し、ソイツの後ろに回り込んで、その輪から抜け出す。

ベストのタイミングを見計らえば、意外と簡単に囲みは破れる。

構成員達は輪の中心にいた巽達に向かってきている訳だから、目標を見失ってぶつかり合う。

そこに、背後から蹴ったり押したりした者をぶつけてやったりすれば、ビリヤードのようにぶつかり合って自滅していく。

その後はひたすらに逃げる。

少し走ると次の集団にまた囲まれるが、同じ要領の繰り返し。

50人が30人になり、15人になり、やがていなくなる。

大通りにまで出てしまえば、自転車などが停めてある。

繁華街の路上には、大体どこにでも自転車があるので、巽はそれを追ってくる構成員達に投げつけた。

自転車は、投げるには非常に都合のいい形をしている。

フリスビーのように回転しながら飛んでいく。

自転車一台で三人か四人は倒せた。

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