BEAST POLICE
そうやって囲みを抜け、相手を殴り、そこらにある物を手当たり次第投げながら。

巽と鬼首は、千代田区平川町まで逃げてきていた。

随分と走ったものだ。

呼吸も整わないまま、ゴミゴミした路地裏にある安っぽい事務所の前に立っていた。

「とりあえず…連中は撒いただろう…」

呼び鈴代わりのブザーを押す巽。

しかし壊れているのか鳴らない。

仕方がないので、巽はドアをノックする。

「おい、蓮杖。いるんだろ、蓮杖」

巽の呼び掛けに応じて事務所のドアを開けたのは。

「……」

前髪パッツンの女子高生、夏目 雛罌粟(なつめ ひなげし)だった。

「よぅ雛罌粟」

巽は片手を上げる。

「蓮杖の奴はいるか?」

「…奥で雑誌読んでます…」

抑揚なく言う雛罌粟に招き入れられ、巽と鬼首は事務所の中に入った。

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