BEAST POLICE
まぁ、様子を見れた事だし。

巽は踵を返す。

流石にファン連中と一緒にサイン待ちの行列に並ぶ気にはなれない。

後で顔を出しに行ったと、メールしておけばいいだろう。

書店から出ていこうとする巽。

そんな時。

「……!」

彼は擦れ違った青年に違和感を感じて、思わず振り向いた。

もう夏本番が近い暑さだというのに、膝丈のコート。

両手はそのポケットにしっかりと突っ込んでいる。

サングラス、マスク、キャスケットという出で立ち。

己の素顔を隠そうとしているのが見え見えだった。

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