BEAST POLICE
「その点…」

若者はサーブラウのハンドルを撫でる。

「パパに新しく買ってもらったこの車なら、僕をイラつかせるような事はないだろ?いい仕事しろよ、サーブラウ」

言うや否や、若者は急ハンドル、急発進でガレージからサーブラウを出す。

左右の安全確認など頭にすらない。

如何に見栄えよく、如何にスタイリッシュに車を走らせるか。

そんな事しか考えていない。

信号無視も、一時停止無視も、スピード違反で白バイに違反切符を切られた事さえも、全て政治家である父親の力で揉み消してきた。

自分は特別な人間だ。

庶民の娘の命を消してしまった事すら、彼にとっては些細な事でしかない。

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