BEAST POLICE
だから。

「ん?」

猛スピードで走らせる車の行く手に、一台のアメリカンバイクが停まっている事も、彼にとってはどうでもいい事だった。

「何してんだ、どけ!」

深夜にもかかわらずクラクションをけたたましく鳴らし、減速する素振りさえ見せない。

アクセルに添えた右足はベタ踏み、ブレーキに置き換える気さえない。

「どかないなら撥ねるぞこの野郎!」

更にクラクションを鳴らすものの、バイクは微動だにしなかった。

むかつく。

僕の邪魔をするなんて。

運転席で軽く舌打ちして。

「じゃあ死ね」

ハンドルをギュッと握りしめた若者。

バイクとの距離が、50メートルほどになって。

「!?」

若者は、そのバイクに跨った男がライフルを持っている事に気付いた。

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