BEAST POLICE
猪瀬は咳き込む。

「アイツは…俺を精神的支柱にして一斉蜂起する受刑者達を扇動して…それを利用してこの刑務所を占拠し…完全に掌握したら…用済みになった俺と藤原を襲って…自分が受刑者らの親玉になりよったんや…」

「つまり、お前と藤原は、刑務所内の掌握に使われ、必要なくなったから切り捨てられたと?」

巽の言葉に、猪瀬は頷いた。

「アイツは…根津は待ってたんや…俺や藤原みたいな…大組織の頭を経験した受刑者が収監されてくるのを…この暴動の火種にする為にな…」

だとしたら、何と狡猾な男か。

自らに受刑者達を扇動するリーダーシップがないとしても、カリスマを持つ者を利用し、刑務所全体を占拠するだけの暴動を起こし、自らはその陰で暗躍しているのだ。

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