BEAST POLICE
そんな事を考えていた倉本の前に。

「!」

革ジャン姿の一人の男が姿を見せる。

「…銃声が聞こえたんで来てみれば…意外な人がいるじゃないですか」

「…お前と会うのはいつも事件現場だな、巽」

倉本はその男…巽に向かって言った。

「倉本さん」

巽は倉本に歩み寄る。

巽がまだ刑事になりたての頃、刑事のイロハを叩き込んでくれた先輩。

それが倉本だったのだ。

犯罪を裁く為ならば権力や権威に決して屈する事なく、時には警察組織を敵に回してでも、己の正義を貫く。

本庁内部で孤立し辞職する事になりながらも、警察組織と暴力団との癒着を暴いた事によって、倉本は刑事としての在り方を巽に示した。

いわば巽よりも最初の『野獣』だ。

< 316 / 490 >

この作品をシェア

pagetop