BEAST POLICE
事件発生から警察は銀行の二階の事務室に現地本部を構えた。

警視庁捜査一課刑事部長自らが現地本部長を務めた。

ここから一階の犯人と電話で会話できるようホットラインを設置。

外から当初パトカー113台、警官644名が銀行を包囲、銀行の半径1キロ内の交通を全て遮断。

本部は銀行の図面から、北と東のシャッターと二階のドアなどドリルで小さな穴を開けて、外から中の様子を観察しようと試みた。

午後6時半、行内が見渡せるようになったが、店内は行員の遺体が転がり、そのそばで『肉の盾』が動いている異様な光景が見えた。

それまで犯人の素性は不明であったが、深夜に都内で職務質問された男の自供から、犯人がその男の友人であり、頼まれてライトバンを盗んだ事、犯人から銀行強盗の相棒を頼まれたが断った事、短気で野心家、感情を爆発させると何をするかわからない性格である事を署で全て供述していた事で犯人の素性が判明した。

夜、犯人が警察に要求したビーフステーキとワインが届けられる。

人質にはサンドイッチや胃薬が差し入れられた。

午後9時半、酷い風邪をひいている女子行員が解放された。

警察は犯人が食べるビーフステーキに睡眠薬を入れる事を検討したが、舌を刺激するという理由で断念している。

尚、犯人は差し入れられた食事は全て人質に毒味をさせた後で口にするほどの狡猾さだった。

またこの段階で、犯人が1979年1月26日に発生した客と行員30人以上を人質にした銀行強盗および人質・猟奇殺人事件での行動をなぞらえている事が確認され、警察は犯人を模倣犯と見ている。

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