ドロップ・ダスト【完】
「あのっ、ずっとファンです!その……これ、受け取ってください!」


告白現場に直面してしまったのだ。
慌てて物陰に隠れた私は、そっとゴミ袋を置き、まるで忍者のように壁に体を這わせた。
それから素直な好奇心に従い会話に耳を傾けていたのだけれど、「ありがとう」とお礼を言った透き通るような声は確かにお雛様のもので、相変わらずのモテモテっぷりになぜか私が誇らしい気持ちになってしまう。


「えっと、そ、それじゃ失礼します!」


声調だけでも緊張している様子が十分伝わってくるファンの子が駆けてくる足音がしたので、私はあたかも“今来ました風”を装って彼女が隣を過ぎるのを横目で見届けた……のだが、問題のシーンはここからである。
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