ドロップ・ダスト【完】
ふざけんな汚物。ていうかこれじゃまるで“お雛様”っていうより“汚雛様”じゃないか。
あの才色兼備で美の代名詞と呼ばれている雛沢が裏の顔で、寧ろこっちの汚い雛沢が表と呼ぶべきなんじゃないかと確信したほどである。

よくもまあ、あそこまで完璧取り繕った仮面を貼り続けていられるものだ。
自分だったらとっくに窒息死しているだろう。
どこか腑に落ちない気もするが、そのハリウッド俳優張りの演技力は評価してやりたい。

でも良く考えたらそれって本当の自分を隠して、偽って生きてるってことでしょう?
それで人生楽しいのかな?窮屈な思いとかしてないのかな?
なんて奴を案ずるような思いを巡らせていた私は、さっきの体育の授業で喉が渇いたので、休み時間が終わる前に自販機へ足を運んでいたのだが、購入したペットボトルのキャップを開けた瞬間、「もーらい」と横から手を伸ばしてきた犯人イコール今頭の中に思い描いていた人物というのが、堪らなく悔しくなった。
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