晋太郎〜in パリ〜
ムーランルージュの悪夢
入り口の客引きに料金を支払う。

狭く細長い階段を降りてゆく。

カウンターとテーブル席が何卓かある。

収容人数20人程度のバー。

テーブル席に案内される。

小さな舞台でショーが始まる。

3〜4人のパリジェンヌが躍り出す。

やがて席にシャンパンが登場。

何か変だ。

ガイドブックで読んだ事がある。

パリの歓楽街注意マニュアル。

シャンパンが出てきたら危ない・・・

退屈してきた。

皆で帰ることにする。

すると、ボーイが請求書を差し出す。

1500フラン。

日本円で約6万円。

不当な高額請求。

支払い拒否。

フランス語で何か言う。

何人かの屈強な男達に囲まれる。

こちらは高校生ばかり。

争っても勝ち目はない。

"ノープロブレム"

"ノープロブレム"

繰り返す。

身体検査。

皆の持ち物を探る。

パスポートや財布を取り上げる。

言われるがまま。

現金を差し出す。

この間、数十分。

とてつもなく長く感じる。

幸い、暴力沙汰にはならず、怪我人もいない。

全員が解放され、地上に出る。

ようやく生きた心地。

悪名高きパリの暴力バー。

世界のパリ。

これぐらい当たり前。

そう諦めるしかない。

ホテルへ直行で帰った。

ひとつ気になった。

あの男達がホテルまで来ないか。

その夜はなかなか眠れなかった。

・・・
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