【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
正直半信半疑な部分はあった。

だって実はあの桜の木には未知なるパワーが秘められていて、それで人の想いを操作できる魔法をかけられるのだ!とかそんなことがあるわけないし。

仮にそれが起こりうるのならば最初から苦労はしないじゃないか。

けれど私の友人がどう転んでも無理であろうと周囲から止められていた、ひとつ上の先輩への片想いを実らせたつい先日確信した。

あのジンクスは本物であると。

部活の先輩達曰く、桜が咲いている期間しかあのジンクスは効力を発揮しないそうで、更に満開に近ければ近いほど効き目は強いのではないかと考察されている。

卒業生の中には満開時に告白をして交際、そのまま結婚までしたというカップルもいて、また桜が花を散らせた状態で告白を試みた女子が、それこそ頭上にある桜の如く初恋を散らせたという苦いエピソードもあると聞いた時は、善は急げという言葉が頭の中を過ぎった。
< 2 / 67 >

この作品をシェア

pagetop