【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「ごめん。今は部活に専念したいから」


一緒に話していて少し脈アリかもと自惚れていた自分が愚かだった。

きっと寺島から見て私なんて所詮話しやすいだけの女友達程度の認識なんだ。

過信していただけに余計精神的ダメージを与えられた。裏切られた感が半端じゃない。

寺島が去ってしまい一人ぽつんと取り残された私は、その場に立ちつくしたまま上を見上げた。

桜は申し分ない程に盛んに咲いている。

まさか自分がこのジンクスを覆す当事者になる日がくるなんて……。

もし寺島がこのことを他言したらあっという間に校内に広まって、私が有名人になるのも時間の問題だろう。

まぁ毒島も変に騒がれるのは迷惑だろうし、自ら拡散させるような真似はしないと思うけど。

じわ、と視界が潤ってきた。

あー、やだな、涙出てきちゃったよ。

失恋して泣くとかダサいなぁ私。でもまだ休み時間あるし周囲に誰もいないから、泣くなら今のうちだよね。

教室に戻ったら寺島の姿もあるわけだし、午後の授業中思い出し泣きしないためにも今ここでたくさん泣いておこう。

そうして声を殺しながら静かに涙を流していた時だ。
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