【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
筆を握る手が震える。
振り向いた私が切実な様子で問い掛けると、寺島はばつの悪そうな表情をして視線を横に逸らした。
何か隠している顔だ、と瞬時に悟る。
短い間を隔ててから寺島は溜め息と同時に口を開いて徐に語りだした。
以前から今の親戚の家を出る話が出ていたらしい。
というのも金銭的にも厳しくなっていた親戚側は、自営業をしているまた別の親戚のもとで、桜夜くんに人手不足な店の手伝いをさせながら学校に通うことを強要させたという。
犯罪者の子供として煙たがられていた桜夜くん自身も居心地の悪さを訴えていて、本人はこれで良いのだと笑っていたそうだ。
ここまで聞いた寺島でさえ、桜夜くんが今はどこで何をしているかも分からない。
振り向いた私が切実な様子で問い掛けると、寺島はばつの悪そうな表情をして視線を横に逸らした。
何か隠している顔だ、と瞬時に悟る。
短い間を隔ててから寺島は溜め息と同時に口を開いて徐に語りだした。
以前から今の親戚の家を出る話が出ていたらしい。
というのも金銭的にも厳しくなっていた親戚側は、自営業をしているまた別の親戚のもとで、桜夜くんに人手不足な店の手伝いをさせながら学校に通うことを強要させたという。
犯罪者の子供として煙たがられていた桜夜くん自身も居心地の悪さを訴えていて、本人はこれで良いのだと笑っていたそうだ。
ここまで聞いた寺島でさえ、桜夜くんが今はどこで何をしているかも分からない。