【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
「電話もメールも無視するなんて酷いよね」

「……それも、悪かった」

「許さない」

「許せとは言わねぇよ」

「……ねぇ、戻っておいでよ。そしたら許してあげるから」

「できるわけないだろ」

「じゃあせめて私との繋がり消そうとするのはやめて」

「……お前には寺島がいるのになんだ?浮気するつもりか?いつからそんなビッチになったんだよ」

「そういうわけじゃ……」

「無理だから」

「え」

「俺が傍にいたら千鶴のこと不幸にしちまう」

「そんなこと、」

「聞いたなら大よそ把握してるはずだ。今の俺に明るい未来は無いんだよ。俺じゃお前を不幸にしちまうだけなんだよ」

「そうやって決めつけるの桜夜くんらしくないよ。大丈夫だから、きっとなんとかなるって」

「その言葉嫌いだなァ」

「え……」

「なんとかならねぇこともあるんだっていい加減気付けよ。だいたいさ、俺らしいってなんだ。お前に俺の何が分かるんだ」

「桜夜くん……」

「もう俺に関わるな」

「やだ」

「頼むから」

「いやだよ」

「ッ!」

「待って!」
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