【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
再び走り出した桜夜くんのあとを無我夢中で追う。
待ってよ桜夜くん!お願い、行かないで!私を置いてどこかに消えないで!
桜夜くんの背中だけを目指して全力で足を動かした。
喉からは鉄の味がするし、さっき怪我した膝からは血が垂れてきている。
けれどそんなの構っちゃいられない。
桜夜くんを救ってあげるんだ。不幸になんかさせない。私が桜夜くんの新しい未来を切り開く力になってみせる。
少し先を走る彼に腕を伸ばすと、ふいに桜夜くんが振り返ってくれた。
――あ、やっと私の思いが届いたのかな?
こちらに向かってくる桜夜くんを見て、期待を抱いた私は足の動きを止めてしまう。
「――千鶴ッ!」
次の瞬間、そう声を張り上げた桜夜くんに私の体は思い切り突き飛ばされた。
ぶれた視界のなか、鈍い音と共に何かが宙を舞う。
網膜を刺激した赤色は信号機のものか、それとも元々彼の体の中を巡っていたものなのか。
待ってよ桜夜くん!お願い、行かないで!私を置いてどこかに消えないで!
桜夜くんの背中だけを目指して全力で足を動かした。
喉からは鉄の味がするし、さっき怪我した膝からは血が垂れてきている。
けれどそんなの構っちゃいられない。
桜夜くんを救ってあげるんだ。不幸になんかさせない。私が桜夜くんの新しい未来を切り開く力になってみせる。
少し先を走る彼に腕を伸ばすと、ふいに桜夜くんが振り返ってくれた。
――あ、やっと私の思いが届いたのかな?
こちらに向かってくる桜夜くんを見て、期待を抱いた私は足の動きを止めてしまう。
「――千鶴ッ!」
次の瞬間、そう声を張り上げた桜夜くんに私の体は思い切り突き飛ばされた。
ぶれた視界のなか、鈍い音と共に何かが宙を舞う。
網膜を刺激した赤色は信号機のものか、それとも元々彼の体の中を巡っていたものなのか。