【リメイク前】大きな桜の木の下で【完】
訳が分からない私は地べたに座り込んだまま、ただ茫然とすることしかできなくて、それでも覚束無い思考を働かせた。

……私のせいなの?私を助けようとして桜夜くんは……。

私が桜夜くんを殺してしまったの?……え、やだ、違うよ。死んでなんかいないよね。

桜夜くんはそんな簡単に死んじゃうような人じゃないもん。

大型トラックに飛ばされて動かなくなってしまった桜夜くんに千鳥足で歩み寄る。

ゆさゆさと彼の体を揺さぶるも反応はない。

……どうしてこうなっちゃったの?何がいけなかったの?私はどこで間違ったの?


「ウァァァアアッ!」


血溜りに溺れる桜夜くんを抱き締めて私は狂ったように泣き喚いた。

失ってから初めてその存在が掛け替えのないものであると気付かされることなんて、後悔ばかりの人生を送ってきた私はとうに理解しているつもりだった。

それでもこんな途方もない悲しみを背負うことになるなんて、追い打ちをかけられている今の私には重すぎたんだ。
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