Winter Love
おまけ③
【ちかこver.】
付き合っていた人とこの間、お別れをした。
入試でお互いばたばたして、それですれ違ってしまったからだ。
大学も同じところではないし、
今別れておくのが正解なんだと、私はこの数か月の間言い聞かせてきた。
でもやっぱり、あきらめることができない気持ちが、どこかに潜んでる。
様子をうかがうように。
私の中で。
「ちかこ、ほら、写真撮るよ!
卒業の記念なんだから!」
みさはよく笑うようになった。
最初別れたばかりの時は、どうなることかと思ったけど、本当によかった。
私は、微笑んで彼女のもとへと歩いた。
「ちかこ、ごめん!
体育館にカメラ忘れてきたみたいだ!
ちょっととってくる!」
鞄をあさりにあさった後、体育館へと駆けて行った。
「おー大丈夫なん?
一緒に行こうか?」
彼女の背にそう言葉をかけたけれど、
「大丈夫!
ごめん、ちょっと待ってて!」
みさはそう残して、一人で行ってしまった。
私は一人風に揺られながら、その場に立ちすくむ。
「ちかこ。
卒業おめでと。」
振り返らずとも分かった。
「……智也。
ありがと。」
彼がいた。
そう彼がいたのだ。
「あの、さ。
俺、大阪の大学、受かったんだ。」
「……うん。」
「それで、ちかこは地元だろう?
それで、えっと。
なんていうか、すげー俺の勝手なんだけど、なんつーか。」
私は一度目をつむった。
そして、
「私、4月から、大阪にある大学に通うんだ。
奇遇だね。」
「え?」
「ほら、あたしにまた勉強教えてくれるんでしょ?」
「っ…。」
彼は私めがけて、飛びついてきた。
彼の背をさすりながら、
男の人の涙は、
どんなものにも負けないと、このとき思った。